水のコラム
災害にも強い暮らしへ┃水道と井戸の併用で広がる安心と節約【水道職人:公式】
災害が多発する日本において、日々の暮らしを守るライフラインの強化は誰にとっても他人事ではありません。
とくに水は、飲食や生活用水として欠かすことのできない重要資源です。
生活に欠かせない水の供給源として、現代の主流である水道に加え、かつての生活を支えた「井戸」が再び注目を集めています。
井戸はもう古い、田舎のものというイメージは過去の話。
近年では、都市部でも井戸を掘削・活用するご家庭が増え、水道との併用による節約効果や非常時の備えとしての価値が見直されているのです。
今回は、水道と井戸を併用するメリットや実際の活用方法、設置の注意点などをご紹介します。
水道の利便性と井戸の自給力
水道は自治体が管理している公共インフラであり、常に一定の水質・水圧で供給される安心感があります。
ご家庭内での飲料水や調理、入浴、洗濯、トイレなど、あらゆる用途に使用できる点が最大のメリットです。
一方で、地震や台風などの自然災害時には水道の供給が止まることもあります。
このような緊急時に頼りになるのが、井戸水です。
井戸は地下水を汲み上げて使うため、水道のような外部インフラに依存しません。
井戸ポンプや動力さえ確保できれば、自家用の水源として非常に強力なバックアップとなります。
また、水道料金がかからないため、日常的な水使用量の一部を井戸に切り替えることで、家計の節約にもつながります。
どんなときに併用が役立つ?
水道と井戸を併用する最大の利点は、普段は水道を使用し非常時は井戸を使用するという使い分けができる点です。
とくに災害に備えるご家庭では、井戸があることで飲食や生活用水の確保に大きな安心感を得られます。
また、井戸水はガーデニングや家庭菜園、洗車、打ち水、ペットの水浴びなどにも利用しやすく、気兼ねなくたっぷり水を使用できるのも魅力です。
さらに、井戸水は冬でも比較的温度が安定しているため、凍結のリスクも水道水より少ない場合があります。
こうした特徴を踏まえ、日常の一部に井戸水を取り入れ、必要に応じて水道と使い分けるスタイルが広がっています。
井戸を設置する際の注意点
井戸を新たに設置するためには、いくつかの注意点があります。
まず、掘削場所の地質や水脈の状況によっては、水が出にくい、または水質が安定しないケースがあります。
このため、信頼できる井戸業者に依頼し、事前の地盤調査や周辺の井戸状況を確認することが大切です。
また、井戸水を飲食に使用したい場合には、水質検査が必須です。
とくに大腸菌や重金属、硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)などの有害物質が基準を超えている場合には、飲食用の水には適しません。
フィルターや浄水器の設置で対応できることもありますが、検査結果によっては用途を限定する必要があります。
水質調査は、奈良県のお住まいの自治体で依頼を受け付けている可能性があるため、自治体に確認してみましょう。
たとえば奈良県奈良市の場合、水質検査を行っていることを市のホームページ上に掲載していますが、井戸水についても対応しているかについては記述がありません。
水質検査を依頼する前に、奈良市の「保健・環境検査課」に問い合わせましょう。
参考:水質の検査について┃奈良市
給水システムの構築と切替
水道と井戸を併用する場合、それぞれの給水系統を明確に分けておくことが重要です。
混在させると、水道管に井戸水が逆流してしまう「逆流汚染」のリスクが発生します。
この状態は「クロスコネクション」と呼ばれ、法令違反となる可能性があるのです。
このため、併用する場合は切替式のバルブや逆流防止弁の設置、二系統の完全な配管分離が求められます。
たとえば、キッチンや洗面所などは水道水を使用し、庭の散水や洗車などは井戸水を使用するといった区分けが理想的です。
参考:参考資料4 クロスコネクションに関する参考資料┃環境省
水質の変化と定期的なメンテナンス
井戸水は地下水を直接汲み上げているため、周囲の環境変化や地盤の動き、季節によって水質が変化することがあります。
また、農薬の流入や工場排水による汚染なども懸念されるため、定期的な水質検査が欠かせません。
それだけではなく井戸ポンプや配管、タンクなどの設備も経年劣化するため、定期的なメンテナンスや修理が必要です。
とくに電動ポンプの故障は、井戸の使用を一時的に不能にするため、故障に備えた手動ポンプの導入やバックアップ電源の用意も検討しましょう。
補助金や助成制度も活用を
自治体によっては、災害時の備えや節水対策の一環として、井戸の新設や井戸ポンプ設置に対する補助金制度を用意しているところもあります。
また、既存の井戸を生活用水として再活用するための支援制度も存在します。
こうした制度を活用することで、初期費用の負担を軽減できる可能性があるため、お住まいの地域の自治体窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
なお、奈良県奈良市などの自治体では、「災害時生活用水協力井戸の募集」を行っています。
登録要件を満たしている場合は、定期的な水質検査を受けられるため、水質検査に係る費用を軽減できるでしょう。
参考:災害時生活用水協力井戸の募集┃奈良市
水の自立が暮らしを豊かにする
水道と井戸の併用は、「安全・安心・経済性・災害対策」という多方面にわたるメリットがあります。
普段は水道の快適さを享受し、非常時や用途別に井戸水を活用することで、より柔軟で強いライフラインを構築できるのです。
また、井戸水の活用は環境負荷の軽減にもつながり、持続可能な暮らしの第一歩にもなります。
ご自宅の敷地条件や生活スタイルに合わせて井戸水を活用できるようであれば、水道と井戸の併用という選択肢を検討してみてください。
暮らしの中での水との付き合い方を見直すことで、今までにない安心と豊かさを感じられるはずです。
なお、井戸水を利用するために必要な井戸ポンプは、メンテナンスや経年劣化による交換が欠かせません。
ご自分での対応は難しいため、井戸ポンプにトラブルが発生した場合には、なら水道職人にお気軽にご相談くださいませ。