水のコラム

蛇口の由来とは?なぜ蛇口と呼ばれているか

2024年07月11日  その他


水栓やカランとも呼ばれている蛇口は、なぜ「蛇口」と呼ばれるようになったのでしょうか。
 
流通が多い多くの蛇口は、水を出すためにハンドルを開閉や上げ下げする必要があります。
近年ではボタンを押して水を出せるタイプや、センサーに反応して水が出るタイプなど、様々な蛇口が普及しているでしょう。
 
蛇口を使うための動作に「蛇」を感じるようなものはなく、なぜ蛇という単語が入っているのか、疑問に感じたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
今回は、蛇口の由来や歴史についてご紹介していきます。

蛇口の由来

蛇口の由来としては諸説あり、三つの説が考えられています。

一つ目の説

明治時代には屋外に設置されている、共用栓と呼ばれる水道がありました。
共用栓の円柱部分は蛇腹と呼ばれており、蛇腹から水が吐き出されることで、蛇口と呼ばれるようになったようです。

二つ目の説

明治20年はイギリスから共用栓の輸入をしており、イギリスからの輸入品の共用栓には獅子(ライオン)を模したものが吐水口に施されていました。
日本で共用栓の製造をする際、獅子は龍に姿を変え、龍のモチーフが蛇であったことから「蛇体鉄柱式共用栓(じゃたいてっちゅうしききょうようせん)」と呼ばれることになります。
 
蛇口は蛇体鉄柱式共用栓を小さくしたもののため、蛇口と呼ぶようになったようです。
また蛇体鉄柱式共用栓と呼ばれる前は「龍頭(りゅうず)」と呼ばれていたという話もあります。

三つ目の説

二つ目と同様に、獅子の施しを龍の形に変えたことから考えられている説の一つで、こちらは獅子と龍を折衷し「龍口付き共用栓」となったことに由来しています。
日本で製造される共用栓の施しは最終的に龍へと姿を変え、龍が蛇と混同されていたことから、龍が施された共用栓を「龍口(たつくち)」と呼び、蛇口へと呼び名を変えました。
 
龍口は発音がしにくく、定着しなかったという説もあります。
 
参考:レファレンス共同データベース┃登録番号:1000188625

蛇口の歴史

蛇口が日本で登場したのは、明治20年の横浜です。
当時日本の各ご家庭では水道が引かれておらず、浄水場から道路脇などに設置された共用栓に水が送られていました。
この時に共用栓に吐水するための部分が取り付けられ、日本での蛇口の歴史が始まります。
 
日本で初めて浄水場から水を送るための水道が引かれたのは横浜で、まだ日本全国への普及はしておらず、蛇口も日本では製造を行っていませんでした。
 
明治31年に東京に水道が引かれ、日本でも蛇口の製造が開始されます。
蛇口の輸入元であるイギリスでは、獅子を水神として崇めていたことにより、蛇口にも獅子が採用されていました。
日本では龍を水神として崇めていたため、日本製の蛇口は龍のデザインを施すこととなり、蛇口の由来へと繋がります。
 
近代の蛇口は一般のご家庭へ水道の普及に伴って姿を変え、蛇口の名前で一般に認知をされていきました。

蛇口とカランの違い

銭湯や水道修理業者などから「カラン」という単語を聞いたことがある人もいらっしゃるでしょう。
カランの語源はオランダ語の「kraan(鶴)」からきており、鶴が首を曲げた姿に似ていることからそう呼ばれています。
 
kraanの発音はクラーンですが、言葉が変化しカランとなりました。
 
カランと似た見た目の蛇口には「鶴首」や「スワン」と呼ばれているものもあり、すべて見た目が語源となっています。

上げ吐水と下げ吐水


蛇口にはハンドルを上に上げることで水が出る「上げ吐水」タイプと、ハンドルを下に下げることで水が出る「下げ吐水」タイプがあります。
これはレバー式水栓に用いられる方法で、現在製造されているものは上げ吐水タイプとなり、一般家庭に設置しているレバー式水栓も上げ吐水タイプが多いです。

上げ吐水の風説

世界で普及しているレバー式水栓も、上げ吐水タイプが設置されていることが多いと言われています。
 
日本では上げ吐水タイプの前は下げ吐水タイプが主流だったため、現在でも下げ吐水タイプの蛇口を使われているご家庭はあります。
 
上げ吐水タイプの水栓が、日本国内で普及した理由には二つの風説があります。
平成7年に発生した阪神・淡路大震災でレバーの上にものが落ちてきたことにより、水が出っぱなしになったことが理由ではないかという説と、アメリカなどの海外では上げ吐水タイプの水栓が主流のため、合わせたという説です。
 
蛇口の由来のように、こちらも正しい説は定かではありませんが、まことしやかに囁かれています。

下げ吐水はいつまで使えるか

下げ吐水タイプのレバー式水栓を現在お使いの人は、壊れるまで使いたいと考えているかと思います。
では、下げ吐水タイプのレバー式水栓は、いつまで使えるものなのでしょうか。

部品の供給は終了している

平成10年にJIS基準が改訂され、シングルレバー式の水栓がJIS製品になる際、新しいJIS基準での製造が必要となりました。
JIS基準での製造には猶予期間が設けられましたが、平成12年4月1日までに上げ吐水タイプに揃える必要があったのです。
 
統一されて以降、下げ吐水タイプの水栓の製造は行われず、部品の供給も現在では終了しています。
そのため、下げ吐水タイプの水栓は、故障だけではなく水漏れなどの不具合が生じた場合にも、修理や部品の交換といったことを行うことができません。
 
蛇口は経年劣化や金属疲労で摩耗していき、水漏れや吐水量が減るなどのトラブルが起きます。
レバーが動かなくなって水が止まらないや出なくなるといった、大きなトラブルに発展することもあるでしょう。
 
トラブルが起きた場合には、下げ吐水タイプの蛇口から、別の蛇口への交換が必要となります。

蛇口の交換はなら水道職人まで!

なら水道職人では、下げ吐水タイプの蛇口交換を承っております!
 
なら水道職人は、奈良に指定を受けた水道局指定工事店として、お客様の蛇口のトラブルを迅速且つ丁寧に解決いたします。
 
下げ吐水タイプの蛇口をお使いの人が上げ吐水タイプに変更することは、使用勝手の点でご不安や懸念点が浮かぶでしょう。
そのような場合、なら水道職人に交換のご依頼をいただけましたら、お客様が使いやすい蛇口の種類もご提案させていただきます。
 
水漏れやレバーの不具合など、蛇口のトラブルはなら水道職人に、お気軽にご相談ください。

まとめ

蛇口の由来は諸説あり、どの説が事実であるか現代では確かになっていません。
由来の説を見ていると、どれも信憑性を感じるものがあり、どの説が事実であったとしても、面白さを感じるでしょう。
 
レバー式水栓の上げ吐水タイプが普及した理由にも諸説あり、蛇口に纏わる風説を調べると、新しい発見があるかもしれません。
 
奈良県宇陀市には水神を祀る室生龍穴神社があります。
春日造りの本殿は奈良県の指定文化財にも指定されており、手水舎には龍を模した飾りが施されています。
 
参考:奈良交通┃室生寺・室生龍穴神社

なら水道職人 0120-492-315

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