水のコラム
蛇口にカビが発生したときの対策と予防方法【矢野】
こんにちは、水道職人の矢野です。
蛇口は多湿環境である水まわりにあるため、カビの発生や繁殖がしやすいです。
見た目はきれいに見えても、吐水口にカビが発生している場合があります。
水まわりには石けんカスや水垢も溜まりやすく、これらはカビが発生する手助けをするでしょう。
蛇口に発生するカビは主に黒色のカビとピンク色のカビで、掃除を行うことで除去することができます。
今回は蛇口に発生するカビの種類や対策、予防法についてご紹介します。
蛇口に発生するカビの種類
蛇口に発生する黒色のカビは「黒カビ」、ピンク色のカビは「ロドトルラ」です。
白っぽいカビが発生することもありますが、これは水垢汚れが考えられます。
黒カビ
黒カビはスタキボトリスという糸状菌の一種で、黒っぽい色をしたカビはすべて黒カビと称されています。
黒カビは蛇口だけではなく、排水口や水まわりの壁の隙間、シーリング材にも発生し、高い繁殖力であっという間に広がるでしょう。
また、梅雨時期など湿気が多い時期には水まわり以外にも発生し、壁紙や床材、天井にも影響が及んでしまいます。
黒カビは有害な粒子を吐き出すと言われており、この粒子を吸い込むとアレルギー症状や呼吸器の疾患を引き起こす恐れがあります。
スタキボトリスはマイコトキシンのサトラトキシンを産生し、これには中毒症状を引き起こす働きがあるのです。
参考:J-STAGE┃住環境におけるカビの脅威:みえないマイコトキシンと関連する疾患
ロドトルラ
ピンク色のドロッとしたカビはロドトルラという酵母菌の一種で、正確にはカビではありません。
蛇口だけではなく浴室のシャンプーボトルの下や排水口のまわりなど、水まわりのいたるところに発生します。
軽くこするとすぐに落ちますが、短期間の間に何度も発生することがあるでしょう。
ロドトルラは空気中に常在しており、カビよりも繁殖のスピードが早く、カビと同じように湿気のある環境を好みます。
ロドトルラを見かけた後にカビを見かけることがあるのは、2つの好む環境が同じだからです。
水垢汚れ
蛇口の吐水口のまわりで特に見かける、白いうろこ状の汚れは水垢汚れです。
水道水はマグネシウムやカルシウムといったものが含有されており、これらが蛇口に付着することによって、水垢汚れが発生します。
水垢汚れは放っておくと堆積し固まってしまい、固まった水垢汚れは落としにくくなるでしょう。
できてしまった蛇口のカビ対策
蛇口に発生したカビは、カビキラーといった市販の塩素系漂白剤だけではなく、重曹やクエン酸を使った掃除で取り除くことができます。
蛇口のカビ掃除には歯ブラシなど、小ぶりのブラシがあると便利でしょう。
歯ブラシなどを使うときは、蛇口に傷を付けないように柔らかいものを使うようにしてください。
掃除の後は丁寧に水で流し、洗剤などをしっかり落とすようにしましょう。
黒カビの掃除
黒カビの掃除は塩素系の洗剤の効果が高いですが、クエン酸を使った掃除方法もあります。
塩素系の洗剤を使う
カビキラーなど塩素系の洗剤は、スプレータイプの場合カビに吹き付け、液体タイプは付け置きして使います。
スプレータイプは、位置によって塩素系洗剤が垂れて落ちてしまい、うまく留まらせられない場合があります。
このときはクッキングペーパーを巻きその上からラップで巻くと、カビ部分に塩素系漂白剤を留まらせることができます。
クッキングペーパーを巻いたときに塩素系漂白剤の量が少ないと感じたら、クッキングペーパーの上から吹き付けてください。
クッキングペーパーだけでも留まらせることができるため、ラップがないときや手間を省きたいときには、ラップを使わなくても良いです。
ただし、クッキングペーパーだけの場合はがれやすくなることや、密着度が落ちてカビへの効果が軽減する可能性があります。
放置時間は塩素系漂白剤のパッケージの時間に倣い、酸性の洗剤とは混ぜないようにしましょう。
酸性の洗剤と塩素系漂白剤が混ざると有毒ガスが発生し、大変危険です。
塩素系漂白剤を使うときは換気をしっかりと行い、肌に付着しないようにゴム手袋やマスク、眼鏡類を装着しましょう。
クエン酸を使う
肌が弱い人や塩素系漂白剤を使うことに不安がある人は、クエン酸と重曹を混ぜて作ったペーストを洗剤の代用として使うと良いでしょう。
クエン酸は工業用も販売されていますが、ご家庭での掃除の場合、食用か掃除用を使うようにしてください。
作り方は簡単で、100g程度の重曹にクエン酸を少量ずつ混ぜていき、ペースト状にすれば完成です。
歯ブラシに上記で作った洗剤を付け、黒カビが発生している部分をこすりましょう。
力一杯こすると蛇口に傷が付いてしまう可能性があるため、磨く程度の力でこする方が良いです。
クエン酸を使うときは、塩素系漂白剤を使わないようにしてください。
クエン酸は酸性のため、塩素系漂白剤と混ざると有毒ガスが発生します。
ロドトルラの掃除
ロドトルラは、洗剤を使わずに歯ブラシなどでこするだけでも取り除くことができます。
ただし、素磨きだけでは取り除ききれない場合があるので、そのときは洗剤などを使うことがおすすめです。
【ロドトルラの掃除で使えるもの】
- 中性洗剤
- エタノール(アルコール)
- 重曹
中性洗剤やエタノールは、ロドトルラに吹き付けた後に歯ブラシなどでこすります。
エタノールは吹き付けただけでは取り除けない場合があり、このときはエタノールを吹き付けた後にキッチンペーパーを貼り付け、数分放置すると良いでしょう。
重曹は水を加えてペースト状にし、ロドトルラに塗布してから歯ブラシなどでこすってください。
重曹はアルカリ性のため、肌に付着しないように注意しましょう。
水垢の掃除
水垢にはクレンザーや酸性の性質をもつクエン酸が効果的です。
クレンザーはクリームタイプを選択することで、蛇口に傷がつきにくくなります。
また、クレンザーの代わりにペースト状にした重曹も使うことができるでしょう。
クレンザーは歯ブラシなどに含ませ、重曹ペーストは水垢に塗布した後に、こすってください。
クエン酸を使うときは、小さじ1杯程度を水200mlと混ぜてクエン酸水を作ります。
クエン酸水はスプレーボトルで作ることで、使い勝手が良くなるでしょう。
クエン酸水をロドトルラに吹き付け、暫く放置した後に歯ブラシなどでこすります。
クエン酸水を振り付けるときは、惜しみなくたっぷりと使ってください。
蛇口のカビの予防
蛇口のカビは、水滴を残さないことや換気、定期的な掃除、防カビ剤を使うことで予防ができます。
蛇口は使った後に飛び散った水滴が付着しています。
また吐水口は水の吐き出しを行うため、水気が残り、常に湿気った状態になっているでしょう。
蛇口や吐水口の水を拭き取ることで、水滴だけではなく、付着しているゴミや洗剤も取り除け、清潔さを保ち水垢の予防も可能です。
水まわりは湿気やすい環境のため、換気を行うことで、カビの発生や繁殖の予防ができるでしょう。
定期的な掃除をして、酵母菌やスタキボトリスがカビに成長する前に取り除くことで、カビの発生を防ぐことができます。
市販の防カビ剤はカビの予防に効果が高く、取り入れることでカビの発生を抑制できます。
置くだけタイプやスプレータイプなどがあるため、取り入れるときはご家庭ごとに使いやすいものを選びましょう。
まとめ
蛇口にはいつの間にかカビが発生していることがあり、カビは放置することで繁殖していきます。
カビは身体に悪影響を及ぼす働きがあるため、カビを見つけたときは早急に取り除くことが望ましいでしょう。
カビを取り除いた後に、稀にニオイが残っている場合があります。
これはカビがまだ残っていることが原因と考えられるため、カビの確認をし、ご自分で解決が難しいときは業者へ依頼することで、きれいに取り除くことができるでしょう。
奈良県では、ホームページ上で「悪いカビVS良いカビ」という奈良新聞に掲載された内容を公開しています。
奈良県庁(奈良県奈良市奈良市登大路町30)
参考:令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」┃悪いカビVS良いカビ