水のコラム

家庭用井戸ポンプの仕組みってどうなっている?特徴を解説

2022年09月05日  その他


農業や園芸に活躍してくれる井戸ポンプですが、地震などの災害に備えて「家庭用井戸ポンプを用意しておきたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、家庭用井戸ポンプのメリットやデメリット、設置する際の注意点を詳しく解説します。設置を考えている方は、参考にしてください。

家庭用井戸ポンプとは

「家庭用井戸ポンプ」とは、井戸水を汲み取るために使うポンプのことです。大きく分けて2種類のポンプがあり、その1つが手動ポンプと呼びます。手で押して水を出すため、電気代がかかることはありません。災害時に停電した時でも使用できるのは、大きなメリットです。

メンテナンスもこまめにしていれば、20年ほど使えます。しかし、それなりの力が必要なので、一気に水を汲み出すと手が疲れてしまいます。もう一方は、電気で動かすことによって、水を汲み上げる電動ポンプです。自分の力を使わずに済むため、一度に多くの水を引き上げられます。

井戸ポンプのタイプ

さらに、井戸ポンプは井戸の深さによってタイプが異なります。大きく分けて3つのタイプがある井戸ポンプ。以下でそれぞれの特徴を紹介します。

浅井戸ポンプ式
地表から水面まで8mほどまでの深さまでの、比較的浅い井戸に使用する井戸ポンプのことです。大気圧を利用して給水管を真空状態にして、地下水を汲み上げます。

深井戸ポンプ式・ジェット式
地表から水面まで8〜20mまでの、深井戸に使われる井戸ポンプのことです。井戸の水面が吸い上げ可能な高さより低い場合、吸い上げることができる高さまで持っていくためにジェットポンプを使います。

深井戸ポンプ式・水中式
深井戸の水中式は、ポンプ部を井戸の水中に設置するタイプの井戸ポンプです。ポンプから地上まで揚水管があり、水を押し上げます。豊富な水量を得ることができ、20mを超えるかなり深い井戸でも対応可能です。

家庭用井戸ポンプの仕組み

手押しポンプで水を汲み上げるには、持ち手の部分を上下に動かすことが必要です。どのような仕組みで引き出しているのでしょうか。まず、井戸ポンプは圧力をかけて井戸水を押し上げます。

これは、ストローを口で吸い込んだ時と同じような現象です。ストローを吸い込んだ時、空気が抜かれて中は、真空状態になります。液体表面にかかる大気圧の働きが加わり、液体が吸い上げられるのです。また、井戸ポンプは、吸い上げた水を押し出すためにバルブでコントロールされています。

このコントロールによって、ピストンが上に上がる時に、井戸側のバルブが開き、ピストン側にあるバルブが閉まります。その結果、水がシリンダ内に吸い上げられた時には、水がポンプの外に押し出されるという仕組みになっているのです。

反対に、ピストンが下がる際には、井戸側のバルブが閉じてピストン側が開きます。この2つの動作を繰り返すことで水を汲み上げられるのです。

家庭用井戸ポンプのメリット・デメリット

家庭用井戸ポンプには、メリットだけでなくデメリットも存在します。良い面だけでなく、悪い面にもしっかり向き合って、設置するかどうかを検討してください。

水道代が節約できる
井戸水は無料でいくら使っても水道代はかかりません。電気ポンプの場合、電気代だけで水を利用できるのは、大きなメリットではないでしょうか。車を洗う際にも便利です。

1年中適温で使える
水道水を使用する際、夏は生ぬるく冬は冷たすぎると感じることがあるのではないでしょうか。井戸水を使えば、一年を通して一定の温度の水を楽しめます。

災害時に使用できる
家庭用井戸ポンプの最大のメリットは、なんといっても災害時でも水を使用できることです。災害時では、多くの場合、断水により長時間水が使えなくなります。その間でも問題なく、水が利用できるのは非常に助かるのではないでしょうか。

設置費用がかかる
井戸ポンプを新設する場合、本体価格と工事費用合わせて20万円ほどかかります。深井戸にする場合には、100万円ほどかかることも。メンテナンス費用も見積もっておくことをおすすめします。

停電時には使用できない
電動ポンプを使用している場合、停電時には水を汲み上げられません。停電時に使うことを考えて導入する場合は、あえて手動式ポンプを選ぶのもひとつの方法です。

水質が良いとは限らない
井戸水と聞くと、キレイで美味しいというイメージを持ち人は多いのではないでしょうか。しかし、すべての水質が良いというわけではありません。工事完了後の水質検査で引用に適しているか判定してください。水質によっては利用できないこともあるため、大きなデメリットになります。

家庭用井戸ポンプを設置する際の注意点

ここで、井戸ポンプ設置に関する3つの注意点を紹介します。

助成金・補助金の確認
井戸ポンプを設置する前には、まず自治体のホームページ等をチェックして助成金制度があるかを調べてください。助成金制度に関しては、住んでいる地方自治体によっても異なります。中には、補助金という名目も自治体もあるので注意が必要です。

また、必ず、井戸を設置する前に設置するようにしてください。もし、ポンプを作った後に自治体に行っても、申請は許可されない確率が高いでしょう。住んでいる自治体によっては、「防災井戸」という指定を受けなければ、助成金や補助金を受けられないこともあります。

事前に自分の地域の助成金制度をよく調べておきましょう。

自治体に必要な届出をしておく
井戸水を飲料水として使用する場合、保健所への届出が必要になります。また、公共下水道使用開始の手続きも必要です。下水道料金の使用に関しては無料ではありません。申請を怠ったまま、排水を続けていると罰金を課されてしまいます。

そのようなことを避けるためにも、井戸水の用途に沿った届出を済ませておくことが必要です。

1年に1度の水質検査が必要
井戸水は、地表面から浸み込んでくる雨水や生活排水、汚水などによって水質が変わっていきます。そのため、すべての井戸からきれいな地下水が汲み取れるわけではありません。設置時に水質を調べるだけでなく、年に1度は水質検査を続けていきましょう。

特に、浅井戸は地表に近い地下水を採取するので、周辺の環境の影響を受けやすくなっています。水質検査は、業者に依頼すると50,000〜100,000円ほどかかります。専門業者に細かく調べてもらえるため、水の安全性を細かくチェックすることが可能です。

初めて水質検査する人は、業者に依頼することをおすすめします。慣れてきたら、インターネット上で水質検査キットを申し込むこともできるでしょう。検査費用は1万円程度で、費用を安く済ませたい人にもおすすめです。

まとめ

災害時に大活躍する家庭用井戸ポンプですが、設置する前にはメリットとデメリットを比較検討する必要があります。水道代が節約できることや1年を通して適温の水を楽しめるのは、井戸水のメリットです。

しかし、設置費用がかかることや必ずしも水質が良いとは限らないのは、デメリットと言えるのではないでしょうか。井戸ポンプを設置することを決めた時には、まず、自分が住んでいる自治体の助成金制度を調べることから始めてください。助成金が使えるなら、多くの費用が削減できます。

必要な手続きや水質検査も忘れずに行い、安全な井戸水を使用していきましょう。

なら水道職人 0120-492-315

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